Place project
制作年: 2001年
メディア:写真
場所 :ハリファックス、カナダ
NSCAD Universityに留学して初めての作品。「場所」というものは、心理的に、社会的に、政治的に、経済学的に、組織されています。それを私たちはどのように把握しているのか、どう説明しているのかを、私たちの日常生活から調査してみようと思いました。私たち日本人は、公共の場に自分の場所を確保する時、自分の所有物(ハンカチ、かばん、ジャケットなど)を置きます。一時的ではあるが、その場は公共と私的との境界であると言えます。
私は50枚の様々な模様の敷物を作り、それらをハリファックスの50ヶ所に敷物を設置しました。敷物の上には、まるで誰かがそこにいたかのように、様々な個人的なものを置きました。例えば、「駅前の時計台の下で女性が恋人を待っていた」というような設定。女性がたばこをすって、新聞を読みながら恋人を待っていたという形跡(口紅のついた吸いかけのたばこ、飲み残したコーヒー、新聞)を敷物の上に残し一日放置しました。この経過を朝昼夜の3回撮影を行いました。結果は、予想とは異なっていました。多くの場合が、敷物や個人的なものを持っていかれてしまいました。特に一番驚いたケースは、公園のベンチに置いた、敷物とマフィンとコーヒーは食べられてしまいました。日本で同じことを行ったとしたら、多くの人は何も触らずにそのままに置いておくでしょう。なぜならば、日本人の意識では、自分のものを置いて場所を確保するということは、強いマーキング法であるとみなされているからです。その上、「人のものを勝手に触ってはいけない」という教育もされています。