ホリバーン巨人

2014年5月11日RESEARCH

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【ホリバーン巨人】
訪問場所:ラニョン・クォイト(イギリス・コーンウォール州・ペンザンス・マドロン)、カーン・ガルヴァの丘(イギリス・コーンウォール州・ペンザンス・ カーン・ガルヴァ)
日時:2014年4月22日
訪問者:山本麻紀子、Helen Knowls

2014年4月22日。アルヴァートン小学校でヘレン先生と初めて会って、学校を案内してもらった後、車に乗ってラニョン・クォイトとカーン・ガルヴァの丘に連れていってもらった。
雨降り。車の中でヘレン先生とワークショップのことについて話す。ホリバーン伝説を初めて知り、巨人も人間と同じような感情を持っているんだなと感動して以来、いつかホリバーンがいた場所へ行ってみたいと思っていたので、とにかく興奮が止まらなかった。

最初に巨人の机と言われているラニョン・クォイトへ。なだらかな丘が遠くに広がりぐねぐね曲がった道を進む。車のワイパーの規則的な動きも重なってとても奇妙な感覚だった。雨が激しくなる。と、向こうのほうに車が2台止まっていて一人の女性が少し高いところから丘のほうを眺めているのが見えた。ヘレン先生が「きっとあそこね!」と言った。車の速度を落とし、ヘレン先生がその女性に聞く。やっぱりここだ。巨人の机。ラニョン・クォイト。どんなだろう。胸が高鳴る。

車を降りて傘をさしてビデオカメラを持った。The National Trust Lanyon Quoitのサインがある。石段を登ると見えた!3本の足の石の机!草原の中に唐突にあって、3本の足がアンバランスに大きな石の板を支えているのが少しおかしかった。思っていた以上に小さい。近づいてみると、なんだかとても温かい感じがした。人に愛されているような、人がここに集まってきそうな。あの感覚こそが、ホリバーンの人柄だったんだろうな、と次の目的地であるカーン・ガルヴァの丘に行く道中の車の中で考えていた。

ホリバーンがその頂上に石を積んでそこを寝床にして住んでいたところ。カーン・ガルヴァの丘。大きな岩がゴロゴロあるので、大きな一歩でないと登れない。めいっぱい足を開いて手も使ってどんどん登る。ふもとのほうは緑の草が生い茂っていたが、上へ登れば登る程、草が枯れて茶色くなる。30分くらい登ると、頂上にたくさんの石が積まれているかたまりがあった。ホリバーンの寝床。ここでホリバーンは毎日寝ていたんだ。寝床からはモルヴァやゼノアの町が見える。緑の草原。そして遠くに海。こうやって、ホリバーンは町の人びとを見守っていた。

町の人たちも町から丘を見上げては、今日もホリバーンはどうしてるだろうと、お互い気配りをしあっていたのだろうなと思うと、この場所が本当に特別な場所のように思えた。身体の大きさが異なっていても同じ場所に住む者として、関わり合い、助け合い、そして友情を育んだ。お互いが相手のことを想い合うこと。

伝説は事実ではないかもしれない。でも、この伝説に込められた人びとの心を一握り掴めたように思った。

<ホリバーン伝説>
イギリス・コーンウォール州・ペンザンスのカーン・ガルヴァの丘に、ホリバーンという巨人が住んでいた。彼は大きな岩を丘の上に積み、日が沈むとその上に横になって眠っていた。近くのモルヴァやゼノアの村の人々はホリバーンに感謝していた。というのは、彼は少し離れたレラントの丘に住む巨人たちの略奪から人々を守っていたからである。彼は戦闘的というより遊び好きの巨人で、チューン村からやって来る若者と石投げやかくれんぼをして毎日仲良く遊んでいた。ある日、ホリバーンは日が暮れて帰ろうとする若者に「明日もまた遊ぼう」と言って、若者の頭を指で軽く触れた。すると若者はばったり倒れてしまった。巨人は慌てて起こしたが、若者はすでに息絶えていた。巨人の指の力が強くて、若者の頭蓋骨が陥没してしまったのである。ホリバーンは友を抱きかかえ、岩に座って身体を揺すり嘆き悲しんだ。「友よ、なぜおまえの頭はもっと強くなかったのか。これから先、誰と石投げやかくれんぼをしたらよいのか」と、岸に寄せる波より大きな声で歌いながら。彼は七年間悲しみ続け、そのためとうとう死んでしまった。(飯田正美「イギリス伝説紀行ー巨人、魔女、妖精たち」松柏社、2005年、20〜21ページより引用)

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