Mending Mito – この世界は凸と凹でできている、まるでパズルのように

2013年12月19日EVENTS

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Mending Mito – この世界は凸と凹でできている、まるでパズルのように

会期:2012年7月7日(土)〜9月30日(日)
会場:水戸芸術館 クリテリオム84 

ロンドンで行った2つのプロジェクト《Lost and Found》(2011)と、《Bsix Free Shop》(2012)を経て水戸にたどり着いた約330のアイテム(ロンドンの路上で拾い集めた落とし物や不要となった様々なアイテム)を使って、水戸の町中にある風化や災害などによってできた傷跡を、地元住民との対話を重ねながら修復を行ったプロジェクトです。

2011年にイギリスで行った《Lost and Found》では、ロンドンの路上やクラブなどで集めた落とし物約350点を使って、ギャラリーに「落とし物管理所」を開設しました。近隣住民の郵便ポストに、ロイヤルメール(イギリスの郵便局)の不在票そっくりの落とし物連絡票を投函し、受け取りを要請しました。もちろん、彼らの落とし物とは限りません。住人は様々な思いを胸に管理所を訪れ、予想もしない“自分の”落とし物と出会いました。開催4日間で118名が訪れ、うち100名の手にアイテムが渡っていきました。残ったものは、次の《BSix Free Shop》において、BSix Collegeの構内に開設したショップで陳列されました。来店した学生は気に入ったものを無料で、または自分の物と引き換えに持って行く事ができました。前のプロジェクトでは人気のなかった物が、ここでは真っ先に引き取られるなどして、約100のアイテムが居場所を見つけ、来店者が置いて行った180点が新たに追加されました。こうして残った約330点のアイテムはイギリスを離れて水戸へ持ち込まれ、世界の向こう側で必要とされなくなったものが、別の場所で必要とされる居場所を見つける、まるで地球規模のパズルをするかのような《Mending Mito》がスタートしました。

水戸の町中でそのままになっている風化や災害などによってできた傷跡を、そこに住む/或は働いている人と何度もコミュニケーションを図りながら、その場所に求められている仕上がりのイメージを膨らませ、前述のアイテムを素材として修復を行いました。イギリスでは居場所を失ってしまったアイテムが、水戸の町の一部として迎えられて行く様子を、ビフォア・アフターの時系列写真として記録しました。アフターの写真が写し出す修繕箇所は、そこに住む/或は働いている人の世界観を再現するものとなりました。「どこかで何かが不足していれば、その反対側で何かが余っている」。世界の向こう側で必要とされなくなったものが、別の場所で求められ生かされる。こうした私のメッセージに共感してもらい、水戸市内の45ヵ所で修繕活動を行いました。展示期間中、ギャラリーでは修繕箇所を記したマップを配布し、展覧会を後にした鑑賞者らは、マップを手にそれらの場所を訪れることができました。